配信も決定! 後藤ひろひとを作・演
出に迎えた、MousePiece-ree『CAT T
OWER』通し稽古レポート

森崎正弘、早川丈二、上田泰三の、ねずみ年生まれの3人の俳優による、大阪の演劇ユニット「MousePiece-ree(マウスピースリー/以下Mouse)」。主にスラップスティック風味のヒューマンコメディを上演し続け、今年で結成20周年を迎えた。その記念公演の第一弾として、関西を代表するコメディ作家の一人・後藤“大王”ひろひととのコラボを実現! 実は彼らとほぼ同年代だという大王が描き下ろした『CAT TOWER』は、猫屋敷化した元ホテルというワンシチュエーションで、ただただおかしなドタバタを見せていくコメディだ。公演後には配信も決定した本作の、通し稽古の様子をレポートする。

小劇場の俳優たちだけでなく、後藤のネットワークを活かして、芸人や浪曲師までゲストに加わった今回の公演。舞台となるのは、愛猫家のオーナーが急逝したため、長年閉館したままのホテルだ。行方不明の飼い猫を探す明日香(樋口みどりこ)と尚樹(早川)の夫婦は、建物を管理する不動産屋の優子(春野恵子)に、特別に中に入れてもらう。
(左から)春野恵子、樋口みどりこ、早川丈二。
しかしそこに、ヤクザから逃げてきたゲン(上田)と和子(是常祐美)の兄妹も潜入。今や数多くのノラ猫が住み着いているこのホテルには、元オーナーの遺産を相続したものの、行方知れずとなった猫がまぎれているとの噂があり、一攫千金を狙う2人はその猫を探すことに。しかし和子は、兄を出し抜いて遺産を独り占めしようと、友人を脅迫して強力な助っ人を呼び出すことにする。
(左から)是常祐美、上田泰三。
さらに、運搬中の猫をあやまって死なせてしまった、引越屋の公平(森崎)とみちる(武田訓佳)もこのホテルに。最初は死に場所を求めてやってきた2人は、ノラの中から似たような猫を見つけ出して、身代わりで飼い主に引き渡すというアイディアを思いつく。このように、さまざまな思惑で猫を探している人たちと、和子の依頼でやってきた猫の駆除人・Q(兵動大樹)まで絡んで、ホテル内は大混乱に陥っていく……。
(左から)武田訓佳、森崎正弘。
後藤の作るコメディは、ひたすらデタラメでシュールなものから、ホラーテイストの入ったものまで、非常にバラエティに富んでいるが、今回はいわば「王道喜劇」と言うべき作品。実は「Piper」時代に発表していた「空き家に勝手に住み着く3人家族」シリーズの、オマージュが入っているそうだ。確かにその作品群を知っている者なら「はいはいはい!」と、その既視感が嬉しくなってしまうだろう。
MousePiece-ree 『CAT TOWER』通し稽古風景。
偶然居合わせた者同士ならではの、ちょっとした思い込みや勘違いによって、笑いが次から次へと加速していき、思いがけない所で「いやそんな伏線が?!」という展開が待っている。各人物の一挙手一投足はおろか、小道具一つとっても不必要なアイテムがほぼ皆無。意外と集中力がいるけど、最後にドッと笑うことで一気に緊張がほぐれる感覚がたまらない。演出の後藤や、稽古に立ち会うスタッフたちも、思わず爆笑するシーンが相次いだ。
そしてドタバタ系の笑いを得意とするMouseのキャラクターの特徴を生かしたからか、全体的に漫画チックなほど登場人物たちの言動が大きい。ゲンと和子の漫才のようなやり取りや、何だかすごくアクティブに動き回る公平&みちる。そこに兵動と春野も、飛び道具なのに安定感が半端ないという貫禄の演技で、物語の要所をグイッと締めていく。そして笑いだけでなく、明日香と尚樹が愛猫への思いを語るくだりは、実際に猫を飼う人なら首を縦にブンブン振ること確実。実際に猫好きでもある大王の本音を、チラリと垣間見たような気分となる。
(左から)春野恵子、兵動大樹。
ゴチャゴチャになった人間模様を最後はあざやかに収束させ、しかも後味はスカッとさわやか。よっぽどのことがない限り、この舞台を観て嫌な気分になって帰る人はいないんじゃないだろうか。Mouseにとっては、メモリアルイヤーのトップバッターにふさわしい作品になったはずだし、本番が楽しみで仕方がなくなった。
今回は公演が大阪だけなのと(その分、どローカルなネタを遠慮なく出せるという強みを生かした仕掛けも)、まだまだ新型コロナで観劇には慎重な人がいることを考慮して、公演終了後に舞台の配信を行うことも決定した。Mouseを観たことがない人も、ぜひこの機会に触れてみてほしい。
MousePiece-ree 『CAT TOWER』通し稽古風景。
そしてMouseの3人と後藤からは、公演に向けたコメントが寄せられた。
【森崎正弘】
今回は20周年ということで、僕が関西小劇場と呼ばれるものに携わってからほとんどの作品を見ている後藤ひろひと氏をお迎えして、盛大に楽しくやれたらいいなと企んでいます。MousePiece-reeを立ち上げてからほとんど僕が演出してきましたが、ずっと憧れていた同世代に作・演出をお願いしました。
大王は僕らの芝居を一回しか見たことがないにも関わらず、ちゃんとした(?)あてがきになっていて、僕らにピッタリの、とてもバカバカしい、ただただ面白いだけの何も生まない作品が出来上がりました。純粋なマウス作品ではありませんが、とてもマウスらしい、この時間だけは確実に笑っていただき嫌なことを忘れられる作品になっています。是非劇場で生のお芝居を体験していただければと願っております。
【早川丈二】
初の大王作・演出、初のABCホール、20年目にして初物尽くしでワクワクがこの何ヶ月か止まりません。そして稽古が始まって更にワクワクが増幅しております。20周年記念という特別な公演ではございますが、ここから新たなMousePiece-reeのスタートでもあります。ここからまた20年歩んでいける様に、しっかり爪痕を残したいと思います。ただただ笑って帰って下さい!!
【上田泰三】
今回、大王の脚本がもう本当に面白く、皆アホなんです! 登場する人物が、皆愛らしいんです! それぞれの思いが交わりながら、それぞれが勘違いし、おかしな状況に陥っていく。すれ違いコメディの王道をお届けします。コメディの難しさはわかってるつもりなんですが、大王の演出で改めて感じたことを舞台上で味わえるように、人間味あふれる役どころを演じたいと思います。
【後藤ひろひと】
私は確かPiperという5人組演劇集団に籍を置いているのだが最近はまったく活動していない。なので本来はPiperに書くべき脚本をMousePiece-reeに書いてみた。2000年代にヒット曲を書いたミュージシャンが20年後、次世代のパフォーマーに全く同じコード進行で曲を書いたからといって悪行にはならない。つまり『キャット・タワー』はPiperによる『Spooky House』『ひ~は~』『ベントラー・ベントラー・ベントラー』に続く新時代の“後藤ひろひと式バカ騒ぎ”なのだ!

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