そのとき、セカオワの『THE SECRET
HOUSE』で何が起こったのか 閉幕に
伴い、ついに解禁!

都内のどこか。チケットを手に集まった老若男女が、落ち着かない様子で定刻を待っていた。「何があるんですか?」「何を待っているんですか?」と尋ねても、誰もそれには答えられない。なんせこの『THE SECRET HOUSE』は、秘密に包まれた展覧会なのである。SEKAI NO OWARIの10周年を記念するイベントのひとつで、彼らのヒストリーを辿る展示らしい……。わかっているのはそこまで。会場は日時指定チケットの購入者のみに伝えられ、内容については公式サイトなどでも全くと言っていいほど触れられてこなかった。このご時世、SNSを検索しても情報が手に入らないなんて “事件” である。
5月9日(月)に会期終了を迎えた『THE SECRET HOUSE』。秘密のベールに包まれていた内容がいよいよ解禁だ。本記事は、そこで何が起こり、どんな出会いがあったのかを記録するレポートである。
チケット購入者だけに案内された、秘密の場所
というわけで、5月某日の某所。予習を封じられてソワソワする来場者たちは、倉庫のような一室に詰め込まれて “何か” を待っていた。照明が落ちた薄暗い部屋には、大きなモニターがひとつ。周りには黒いカーテンが吊るされており、その “何もわからない” 状況がまるでライブの始まりを待つ開演前のようで、観客たちの熱気が上がってくるのがわかった。定刻を迎えると、SEKAI NO OWARIに仕える執事で、ウサギに似た「ルイス」が登場した。
『THE SECRET HOUSE』のナビゲーター・ルイスは展示エリアにも登場
ルイスはテーマパークのキャストのように、この世界にゲストを導く存在。愛嬌たっぷりのトークで、来場者たちを不思議の国へとナビゲートしてくれた。会期終了まで口外しないよう「KEEP THE SECRET!」と全員で誓いを立てると、『THE SECRET HOUSE』のテーマ曲である「tears」の展覧会用オリジナル映像がスタート。メンバーが創作の拠点としている通称 “セカオワハウス” を模したセット中で、結成からの歩みを辿っていく内容で、一気にSEKAI NO OWARIの世界に引き込まれる。そして、映像が終わると最初のサプライズ。

『THE SECRET HOUSE』展示風景(写真=オフィシャル提供)
背後の黒いカーテンが開くと、そこには先ほどまで映像に映っていた “セカオワハウス” のリビングが! なんと実際に使われている家具を丸ごと持ってきて再現したのだという。目の前の状況に呆気に取られていると、中央の机に置かれたクラシックな電話が鳴った。(えっ?)……いそいそと受話器を取るルイス……(えっ、まさか?)……「はい、ルイスです」……(まさか?)……

「もしもし、Fukaseです」
まさかの生電話?! 続くルイスからの「今どこですか?」という質問への答えが、なんとも生々しい。
「えーと……自転車で走ってたんですけど、時間になったんで、停まって道端で話してます(笑)」
そこからはしばし、生電話での質問コーナーとなった。Fukaseが「◯◯ちゃん」とラッキーな質問者の名前を呼び返すたびに、会場からは興奮のどよめきが起こった。アーティスト本人と電話で繋がるという、想像の斜め上をいくサプライズ演出だ。
歴史をたどる、圧倒的な情報量
『THE SECRET HOUSE』展示風景
さて、展示エリアは奥へ奥へと広がっている。SEKAI NO OWARIの10年(とちょっと)のヒストリーを時系列に沿って見ていこう。スタートは彼らの拠点だった手作りのライブハウス「club EARTH」ができた2007年。ネオンが輝く時計や壁の装飾は「club EARTH」を模したものだ。バンド結成当時の若き4人の集合写真がめちゃめちゃ普通で、今となっては逆にコスプレみたいに見えるのが面白い。
『THE SECRET HOUSE』展示風景
ライブハウス風の黒い壁に囲まれた展示空間を抜けると、一気に視界が開ける。ここからはデビュー後の世界である。目に飛び込んでくる、衣装や楽器、ライブ資料などなど。物量だけでも相当だが、一つひとつに既出のインタビューなどから抜粋したメンバーのコメントが添えられていて、情報量がすごい。
『THE SECRET HOUSE』展示風景
Fukaseによる「スターライトパレード」の作詞ノート。ついさっき聞いた生声のおかげで、呟きながら作詞する様子がありありと浮かんでくるようだ。
『THE SECRET HOUSE』展示風景
ライブやMVで着用した衣装の数々は、細部まで丁寧に作り込まれており見ていて飽きない。ちなみに、衣装の合間にはさりげなく「Fukaseの松葉杖」の展示も。キャプションでは、2013年のツアー打ち上げで酔っ払い、翌朝気づかないうちに骨折していた……というエピソードが語られていた。
『THE SECRET HOUSE』展示風景
ファンにとってたまらない「あの時のアレだ!」は、衣装だけにとどまらない。こちらは、2014年の紅白で「Dragon Night」を披露した際に、Saoriが弾いていたピアノ。透明な鍵盤と地球のモチーフが印象的だ。
色褪せないツアーの記憶
『THE SECRET HOUSE』展示風景
展示は2階にも。楽曲やツアーごとにゆるくスペースが区切られ、それぞれのコンセプトや世界観を追体験できるようになっている。
『THE SECRET HOUSE』展示風景
チカチカ光ってとても可愛い、2018年の野外ツアー「INSOMNIA TRAIN」のステージ模型。よく見ると、背後に貼られているのはライブ会場で使われていたと思われる「帰りの交通のご案内」である。現場の運営を思わせるアイテムが何気なく目に入ることで、実際にライブ会場を訪れたような気分になった。
『THE SECRET HOUSE』(写真=オフィシャル提供)

2017年に開催された初のドーム・スタジアムツアー「Tarkus(タルカス)」のコーナーでは、空飛ぶクジラの「サリー」が登場。このツアーはある架空の王国のストーリーをふたつの視点から伝えるように構成されており、特に物語性が強い。パネルでのストーリーの展示も読み応えがあった。

秘密のミッションも
なお、この『THE SECRET HOUSE』来場者は、SEKAI NO OWARIの音楽制作ドキュメンタリー「Holiday Session」にも参加することができる。彼らにとって恒例といえる同企画は、抽選されたランダムなテーマに基づいて、メンバーたちが一日で新曲をつくる様子に密着するもの。これまではアルバムやシングルの初回限定特典映像となってきた。
『THE SECRET HOUSE』展示風景
来場者は特設コーナーに用意された紙に、思い思いのテーマを書いて……
『THE SECRET HOUSE』展示風景
こちらのクラシカルなポストに投函。自分の書いたテーマをもとにSEKAI NO OWARIが曲を作るかもしれない。今日という秘密の一日が、未来の企画に繋がっていく。もし万が一、選ばれたらどうしよう……! ちょっとした興奮を、カウンターのルイスが冷静に見ている。近くに寄ってみると、バーカウンターの上部にはステンドグラスがあしらわれていてとても可愛い。本当に、一つひとつのアイテムを細部まで作り込むこだわりぶりに驚かされた。
Fukaseの絵画作品も
『THE SECRET HOUSE』展示風景
バラエティに富んだ展示の中で個人的に気になったのは、Fukaseの絵画作品だ。解説によると、油絵具を指で取り、手を使って絵を描くという。綺麗なだけじゃない混色具合や、執念深く絵具を盛り上げる筆致(指づかい?)に思わず引き込まれた。
『THE SECRET HOUSE』展示風景
ステイホームの日々の中で、絵画作品づくりに没頭したというFukase。2021年には、かねてから形にしたいと思っていた「Tarkus」の物語を、絵本「ブルーノ」として結実させている。写真中央がその原画だ。
『THE SECRET HOUSE』展示風景
エンディングを飾るお祭りの花火は、色がぐちゃぐちゃに混ざり合って、何ともいえない褐色になっている。そういえばSEAKAI NO OWARIの「イルミネーション」の歌詞で、“優しさに色があるなら 赤でも青でも黄色でもない 全部を混ぜあわせて ただ一つ出来る色だ”って言っていたなぁ、と後になって腑に落ちた。
星の海へ
そして展示はクライマックスへ……。頭上には「スターライトパレード」の歌詞の一節が浮かぶ。左右に設置された画面・スピーカーからは一斉にライブ映像が流れ、間に立つと、まるでライブ会場にいるような心地のよい圧を感じる。
『THE SECRET HOUSE』展示風景
しばらく佇んで数曲聴いていたけれど、やっぱり「スターライトパレード」は格別だった。ライブグッズの光りモノ(その名もスターライトリング)を着けた観客が波のように揺れている映像を見ると、これもまたスターライトパレードなのか……と胸が熱くなるのを感じた。
『THE SECRET HOUSE』展示風景
星の海を抜けた先には、2021年〜2022年にかけて開催した最新ドームツアー「BLUE PLANET ORCHESTRA」関連アイテムの展示が。これでセカオワの10年(とちょっと)をたどる旅も、現在に追いついたというわけだ。
隣のショップコーナーでは『THE SECRET HOUSE』オリジナルグッズが多数販売されており、多くのファンで賑わっていた。オリジナルグッズはオンラインでの販売があるので、気になる方はぜひチェックを!
秘密は甘い味
出口を出る直前、「KEEP THE SECRET」の文字とともに、最後の壁にメンバーから手書きのメッセージが残されていた。
『THE SECRET HOUSE』展示風景
すでにSNSへの投稿も解禁され、体験者たちの興奮がたくさん発信されているだろうと思う。時間差で弾ける花火のようでワクワクする一方、「絶対に秘密だからね……」と目配せしあった期間もまた、この企画の大きな魅力だったのだとしみじみ感じる。いかに “みんなに知らせる” かが至上命題となっている数々のイベントを横目に、『THE SECRET HOUSE』は私たちがいかに “自分以外みんなが知らない” ことが好物なのかを暴き出してみせたのである。改めて、SEKAI NO OWARIがエンタメ界に一石を投じる存在だということを思い知らされる体験だった。

​​文・写真=小杉美香 写真(一部)=オフィシャル提供

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