牧阿佐美バレヱ団がローラン・プティ
の『ノートルダム・ド・パリ』を6年
ぶりに上演、豪華海外ゲストも招いて
壮大な"愛と死のドラマ"を披露

牧阿佐美バレヱ団が2022年6月11日(土)12日(日)の2日間にわたり東京文化会館で『ノートルダム・ド・パリ』(全2幕)を上演する。今作は20世紀バレエの巨匠ローラン・プティ(1924-2011)の代表作のひとつで、1965年にパリ・オペラ座で初演された。文豪ヴィクトル・ユーゴーの小説に基づき、中世のパリを舞台に"愛と死のドラマ"を壮大に描く。主役のカジモドとエスメラルダのパ・ド・ドゥなどメインキャストの感情の機微が湧き上がる踊りと、大聖堂の前で踊られる群衆の群舞などアンサンブルのダンスが見事に融合した名作だ。
牧阿佐美バレヱ団『ノートルダム・ド・パリ』2012年 撮影:山廣康夫
プティはフランスが生んだ名振付家。パブロ・ピカソやジャン・コクトーといった一時代を画した美術家や文学者と協同作業を行うとともに、ハリウッドでフレッド・アステア主演のミュージカル映画の振付を手がけたり、夫人のジジ・ジャンメールのレビューを創ったりと幅広く活躍し、“ダンスの魔術師”と称された。その創作は、いわゆる"エスプリ"に満ち、軽妙洒脱な作品も愛されているが、"愛と死のドラマ"を陰影深く描いた創造も多い。『ノートルダム・ド・パリ』は、プティ流のドラマ作りの才がいかんなく発揮されている。
牧阿佐美バレヱ団『ノートルダム・ド・パリ』2006年 撮影:瀬戸秀美
『ノートルダム・ド・パリ』にはプティの下、大物芸術家が結集した。衣装デザインはイヴ・サンローラン。音楽(作曲)は「アラビアのロレンス」などの名作映画で知られるモーリス・ジャール。舞台美術は後に映画監督として名を成すルネ・アリオ。稀有な才能たちが生んだ総合芸術は不滅の光彩を放ち、パリ・オペラ座バレエ団、ミラノ・スカラ座バレエ団など世界の大バレエ団のレパートリーとして知られ、日本では牧阿佐美バレヱ団だけが上演可能である。
牧阿佐美バレヱ団「ノートルダム・ド・パリ」2012年 撮影:山廣康夫
日本でもプティ作品を上演している団体はいくつかあるが、レパートリーの多さや上演頻度、在世時の親交に関して、牧阿佐美バレヱ団の右に出るところはない。1996年の『アルルの女』を皮切りに、98年に『ア・リタリエンヌ』と『ノートルダム・ド・パリ』、99年に『シャブリエ・ダンス』と『若者と死』を日本のバレエ団として初上演した。そして2001年には創立45周年記念として『デューク・エリントン・バレエ』を世界初演。04年には『ピンク・フロイド・バレエ』を新制作した。昨年『アルルの女』を16年ぶりに再演して完成度の高い舞台を披露し、「NHKバレエの饗宴2021 in 横浜」でも上演&テレビ放映されたのは記憶に新しい。
菊地研 ニコレッタ・マンニ 「ノートルダム・ド・パリ」2016年 撮影:鹿摩隆司
2016年以来6年ぶりの上演では、海外ゲストを含む極めて魅力的な2キャストが組まれた。
まず牧阿佐美バレヱ団の面々が粒ぞろいである。大聖堂の鐘撞き男カジモドは16歳で『デューク・エリントン・バレエ』のソリストに抜擢されプティに見出された菊地研(11日)。ジプシーの女エスメラルダに初めて挑むのは、バレエ界の権威である服部智恵子賞などに輝いた、大人の魅力を備えるプリマバレリーナ青山季可(11日)。大聖堂の司教代理フロロを、昨年『アルルの女』フレデリ役で各メディアから絶賛を浴びた水井駿介(11日)が初めて踊り、モンゴル出身の実力派ラグワスレン・オトゴンニャム(12日)と競演する。
(左から)菊地研 青山季可
(左から)水井駿介 ラグワスレン・オトゴンニャム

海外組では、パリ・オペラ座バレエ団エトワール(最高位)のステファン・ビュリオン(12日)がカジモドを踊ることにバレエ・ファンは騒然となっている。
ステファン・ビュリオン
来日直前にオペラ座におけるアデュー(さよなら)公演を迎えるが、『若者と死』若者、『カルメン』ドン・ホセなども踊り名をはせたプティ作品の名手の登場が待ちきれない。
ステファン・ビュリオン(『ノートルダム・ド・パリ』カジモド) Photo:Anne Deniau
エスメラルダのスザンナ・サルヴィ(12日)はローマ歌劇場バレエ団エトワール。2021年10月、ノボシビルスク・バレエの『ノートルダム・ド・パリ』初演の際にエスメラルダを踊り、同年12月にはミハイロフスキー劇場でのガラ公演でビュリオンとパ・ド・ドゥを披露している。
スザンナ・サルヴィ
歩兵隊長フェビュスのアルマン・ウラーゾフ(両日)は、カザフスタンの国立アスタナ・オペラ・バレエ団のプリンシパル・ダンサーで、国際コンクール受賞歴も豊富だ。
アルマン・ウラーゾフ
牧阿佐美バレヱ団は昨年10月、主宰者の牧阿佐美を喪ったが、歩みを止めない。故プティや今回の振付スーパーバイザーを務めるルイジ・ボニーノと組んで数々のプティ作品上演を成功させてきた芸術監督の三谷恭三を始めとするカンパニーの総力を結集した舞台に期待したい。
【PV動画】 牧阿佐美バレヱ団「ノートルダム・ド・パリ」(ローラン・プティ振付/台本) 2022年6月上演
文=高橋森彦

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