手塚治虫の漫画を初歌舞伎化 3年ぶ
りとなる歌舞伎座『八月納涼歌舞伎』
にて『新選組』を中村歌之助・中村福
之助らで上演

2022年8月、歌舞伎座『八月納涼歌舞伎』にて、手塚治虫原作の漫画「新選組」を上演することが、発表された。日本にとどまらず、世界中で愛される“漫画の神様”手塚治虫の作品を歌舞伎として上演するのは、今回が初めてとなる。
時を超えて今なお愛される、手塚治虫。誰もが親しみをもって楽しむことができるエンターテインメント性に溢れる作品を生み出し、奇想天外なアイディアとファンタジー性で読者を虜にし続けた唯一無二の漫画家だ。手塚治虫は漫画の表現を追求し、極限までその可能性を押し広げ、世界中の多くのクリエイターに影響を与えてきた。また、その作品世界には、命の尊さ、生きることの意味を問う壮大なテーマ性が内包され、時を超え、国の垣根を飛び越えて、今なお世界中で幅広い世代に作品が読み継がれている。
今回、手塚治虫の描いた数多くの漫画から、初めて歌舞伎としての上演に選ばれたのは、「新選組」。手塚治虫が生み出した漫画「新選組」は、1963(昭和38)年1月号から10月号まで、集英社の月刊誌「少年ブック」で連載された。
父の仇を討つため、「新選組」に入隊し剣の腕を磨く少年・深草丘十郎(ふかくさ きゅうじゅうろう)の成長と、どこか謎を秘めた親友・鎌切大作(かまぎり だいさく)との友情を描き、幕末の京都を舞台に、近藤勇、土方歳三、沖田総司や芹沢鴨らおなじみの新選組隊士たち、さらに坂本龍馬との出会いを通じて、深草丘十郎の姿を生き生きと描き出す。独自の視点と解釈で描き出された、手塚治虫版「新選組」は、多くのクリエイターに影響を与え、手塚治虫の隠れた名作として評価の高い作品。近年、「ワンピース」や「NARUTO -ナルト-」、「風の谷のナウシカ」といった漫画を原作とした歌舞伎作品が注目を集めるなか、遂に“漫画の神様”手塚治虫の作品が歌舞伎として上演されることとなった。
『八月納涼歌舞伎』は、1990(平成2)年から始まり、十八世中村勘三郎(当時 勘九郎)と十世坂東三津五郎(当時 八十助)を中心に、花形が活躍する公演として人気を博してきた。この『納涼歌舞伎』によって、歌舞伎座では一年十二ヶ月を通じて歌舞伎興行が開かれるようになり、平成の歌舞伎の一大ブームを巻き起こすことに。今回、2022(令和4)年8月、コロナ禍以降、実に3年ぶりの『八月納涼歌舞伎』が歌舞伎座に帰ってくる。
歌舞伎版『新選組』では、父の仇を討つため「新選組」に入隊する深草丘十郎に中村歌之助、どこか謎を秘めた丘十郎の親友・鎌切大作に中村福之助の配役が決定した。勘三郎、三津五郎と共に『納涼歌舞伎』を盛り上げてきた中村芝翫の三男である歌之助と次男の福之助が、手塚治虫が生み出した魅力的なキャラクターである深草丘十郎と鎌切大作という若いふたりの剣士を躍動的に勤める。
中村歌之助
中村福之助
そして、中村勘九郎と中村七之助の出演も決定し、中村屋兄弟といとこにあたる福之助・歌之助兄弟が競演する姿にも注目したい。
中村勘九郎
中村七之助
夏の暑さを吹き飛ばし、熱気溢れる舞台が展開される予感の『八月納涼歌舞伎』、手塚治虫原作の『新選組』。どんな公演になるのか期待が高まるばかりだ。

出演者コメント
中村福之助、中村歌之助 /(c)松竹
■中村歌之助:深草丘十郎 役
まさか歌舞伎座で主役をさせていただけるなんて……プレッシャーもありますが、すごく嬉しいです!
勘九郎の兄から手塚治虫先生の「新選組」が面白いと伺って兄たちと読みました。幕末の話でありながらも、現代に通ずるテーマ性があり、若い人にも観ていただきたいです。手塚治虫先生の作品は、母方の祖父が「鉄腕アトム」を見せてくれたり、小さい頃から作品に触れていたのでご縁を感じています。初めて歌舞伎になるときに、主人公の丘十郎として舞台に立たせていただけることは有難く、光栄です。
『八月納涼歌舞伎』は若手が一致団結してやる公演でもあるので、今回「新選組」を 8月の歌舞伎座でさせていただけることも、すごく嬉しいです。勘九郎の兄や七之助の兄はじめ錚々たるみなさんが出てくださると思うので、周りにも支えていただいて、ひと月がんばりたいです。
出演が決まったときは、家族みんなで喜びました。父(芝翫)は「チャンスだからがんばりなさい。本当によかったね」と言ってくれました。母(三田寛子)はひたすら「がんばりなさい。もらったチャンスをものにするのよ」と。兄弟の反応は……一番上の兄(橋之助)からは「ずるいなぁ……」と。僕ら二人にすごい嫉妬が……。丘十郎と大作の関係は、僕たち兄弟の関係とどこか似ているようで、二人に合っているのかもしれません。兄と芝居をするのはすごく楽しみですし、二人が成長していく過程を日に日に観ていただけたら嬉しいです。
■中村福之助:鎌切大作 役
とにかく楽しみでしょうがないです! がんばります!!!
数年前に勘九郎の兄から、手塚治虫先生の「新選組」が面白いからと勧めていただいてすぐに読みました。兄弟で回し読みしながら、新選組をそう描くんだ!と、とても面白くて、これが歌舞伎になったら…と想像したり、ワクワクしながら読みました。
今回、鎌切大作を勤める上では、手塚治虫先生のファンや「新選組」を愛していらっしゃる方々に舞台を観ていただいたときに、「あ、鎌切大作だ!」と自然に馴染んでいただけるように演じられたら、それがベストだと思っています。まだ誰もやっていないお役に臨めることも、楽しみでしようがないですね。
『八月納涼歌舞伎』は、小さい頃から勘三郎の伯父や父が出ていた公演なので、そこに出させていただけることは身の引き締まる思いです。さらに今回、「新選組」というお芝居ができるのは、「新選組」を勧めていただいた勘九郎の兄に感謝ですし、今、自分たちができる最高のパフォーマンスを出し切れるようにがんばりたいと思います!

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