久保史緒里(乃木坂46)「大きな力を
持つ作品に全力でぶつかって成長した
い」~『桜文』インタビュー

パルコ・プロデュースの2022年9月公演『桜文』。古き良き日本の空気をユニークな感性で描く秋之桜子と、繊細で深みのある演出を行う演出家・寺十吾。ユニット「西瓜糖」でもタッグを組む二人がPARCO劇場に登場する。
上演されるのは、明治の吉原を舞台にした愛の物語。たいそう美しいが決して笑わない吉原随一の花魁・桜雅(おうが)と若い小説家・霧野、手練れの商人・西条を中心とする人々の、美しくも悲しく不思議な運命が描かれる。主演を務めるのは、乃木坂46版ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』2019 や『夜は短し歩けよ乙女』の好演も記憶に新しい久保史緒里(乃木坂46)。これまでにない役柄にチャレンジする久保に、意気込みや思いをうかがった。
■新たな自分を見せられることが嬉しいです
ーーまずはこの作品に出演が決まった思いや意気込みを教えてください。
花魁の役をやらせていただくのは初めてで、不安は正直ありました。本当に豪華絢爛なイメージがあったので、そこを守りながら物語を進めていけるだろうかと。でもそのぶん、初めてのことに挑戦できるという嬉しさもあります。この作品の幕が開く頃には乃木坂46に入って7年目になっていますが、今まで見せてきた自分とは全く違う一面を見せられる。それもあって、ハードルは高いけどこの作品にかける思いはすごく強いです。加入当時は「か弱そう」と言われることも多かったんですが、自分のラジオをやらせていただいて、素の部分も見せられるようになりました。そうすると、お芝居を通して自分の新たな一面を出したいと思うようになったんです。この6年間ずっと「お芝居がしたい」と言い続けましたし、お芝居をするのが好きなのですごく嬉しいです。
ーービジュアル撮影で花魁の格好をしてみていかがでしたか?
すごい重さでびっくりしました。美しくあるのは楽じゃないんだと身をもって感じました。でも、花魁の衣裳を着ることですごく気持ちが入りました。
ーー花魁というと所作や言葉遣いも特徴的です。役作りをする上で挑戦したいことは何かありますか?
まずは色々な作品に触れたいです。本番までまだ時間があるので、知識をどんどん蓄えていきたいと思っています。“艶っぽさ”というのは自分発信になるので、どう作っていくかが一番の難所でありポイントかなと思います。稽古の中で皆さんと相談しながら、自分なりの花魁を作り上げたいなと思っています。
ーー色々な作品に触れたいとのことですが、“花魁”でイメージするものはありますか?
そうですね、やっぱり『さくらん』(安野モヨコ原作)はすごく素敵だと思いました。映画版に菅野美穂さんが出演されているんですが、登場してすぐ、静かなのに吸い込まれるような魅力があって……。そこにいるだけで目を奪われる存在を目指していきたいと思います。
久保史緒里
■苦しいけれど、すごく面白い物語だと感じました
ーー今回演じる桜雅という役について、今の時点ではどんな印象を持っていますか?
“笑わない”という部分とその背景が物語の一番のキーになってくると思います。台本を読んで最初に感じたのは苦しさでした。ここまで苦しい役を演じるのは初めてです。役作りについてはまだ考え中ですが、今まで出演した舞台では、共演者の皆さんとのやりとりの中で生まれた空気を大事にしてきました。もちろん自分の中にも「こうしよう」「こうしたい」という思いはありますが、共演者さんや演出家の方、周りの皆さんとのやりとりやアドバイスがあってようやく役が完成したと思っていて。今回も初日の幕が開くギリギリまで皆さんとやりとりし、その中で作り上げた自分で舞台に立とうと思っています。
ーーこの作品のどんなところに魅力を感じましたか?
ちょっと時をかけると言いますか、過去の話なども絡んできます。読み終えてまず感じた印象は「苦しい」でした。読んでいる間は「どうなっちゃうんだろう」とハラハラしたり、「こことここが繋がってたんだ」と気付いてゾクゾクしたり。すごく面白いと思いました。花魁になる前と花魁になってからの演じ分けはまだ考え中ですが、一貫性がないといけませんよね。すごく難しいと思いますが、稽古をしながら固めていきたいです。
ーー今回タイトルが『桜文』ということで、手紙がひとつのキーになるんじゃないかと思います。手紙にまつわるエピソードは何かありますか?
中学の後輩が今でも手紙を送ってくれています。その子は当時からピアノを頑張っていて、自分が出たコンクールのチラシや海外に勉強しに行った時の写真を手紙と一緒に入れてくれるんです。「私はこうやって頑張っています」という近況報告に心が温まるし、私も頑張らなきゃと思わせてくれます。
■役柄を知ったメンバーの反応が楽しみです
ーー今回は座長ですが、グループを離れた仕事に関する思いはいかがでしょう。
私はすごく緊張しいで、新しい現場に入って自分を出すのには時間がかかります。今回は私が20歳になって初めての舞台ですが、大先輩が多いので私が引っ張る形になるのではなく、皆さんのお力を借りしつつ自分自身のやるべきことをしっかりやっていきたいです。
ーーメンバーには、花魁の役を演じることは話しましたか?
まだです。舞台をやることは伝えてあって、みんな「観に行くね」って言ってくれてはいるんですけど。普段とは全然違う自分をみんながどう受け取ってくれるか楽しみです。同期からは普段、本当に色気がないねっていじられるんです(笑)。だからきっと驚くと思うし、ビジュアルを見たみんなの反応が楽しみなので、それまで花魁役だということは内緒にしておこうかと思っています(笑)。
■表現する面白さを知って、お芝居がしたいと思うようになりました
ーー今回はPARCO劇場の舞台。様々なファンの方がいらっしゃると思います。
個人で舞台に出演させていただくとき、いかに“アイドル”というフィルターをかけずに観ていただけるかというのが一番難しいことであり、一番やらなければいけないことだと思います。だからこそ甘えはなしで。舞台を観にきてくださった方が純粋に作品を楽しむ上で私の存在が違和感にならないようにしたいです。花魁という役を突き詰めるのはもちろん、作品にいかに溶け込めるかを大事にしたいです。そして、あとから「乃木坂の子だったんだ」ってグループのことも知っていただけたら嬉しいですね。
久保史緒里
ーー寺十さんの作品をご覧になったことはありますか?
グループの後輩である筒井あやめちゃんが寺十さんの舞台に出演していたのですが、同じ時期に私も舞台本番をやっていて観に行けなかったんです。でも、あやめちゃんに色々聞いてみました。心情など、すごく細かいところまで一緒に考えながら作ってくださると聞いて楽しみにしています。私は自分の意見を言うのが苦手なんですが、今回は大先輩の皆さんから刺激を受けて学べると思うので、自分から積極的に聞きに行ったり相談したりしたいと思います。
ーーお芝居が好きということですが、舞台をやりたいと思うようになったのはいつ頃でしょう。
『3人のプリンシパル』(2017年)という作品で初めて舞台をやった時、表現することの楽しさを教えてもらったのがきっかけです。昔は自分の思いや考えを口に出すのが苦手で、表現することが怖かったんです。「間違ってる」って思われたり言われたりするのがすごく怖くて。でも、舞台に出演する中で、まずやってみるという精神が身に付いてきたと思います。
ーー舞台の魅力や面白さはどこにあると思いますか?
同じシーンでも毎公演違う感情が湧いてきたり、初日の幕が開いてからも新しい表現が見つかったりするところです。前の舞台でもそうでしたが、小屋入りした瞬間に全然違う演じ方が出てきたりするんです。自分次第で最後まで登り続けられるのが楽しいですし、お客様の反応がすぐに返ってくるのも魅力だと感じます。
ーー最後に、楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。
普段から私を応援してくださっている方は普段との違いに驚かれるかと思います。でも、私自身はこの挑戦をすごく楽しみに捉えています。自分が成長する上でこんなに素敵な機会はないと思いますし、本当に大きな力を持った作品でもあります。色々な場面で生まれる感情を、舞台上でどんどんぶつけていけたらと思っています。
本作は9月5日(月)よりPARCO劇場で上演され、地方公演も予定されている。
取材・文=吉田沙奈

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