『ZIGGY~IN WITH THE TIMES~』/ZIGGY

『ZIGGY~IN WITH THE TIMES~』/ZIGGY

ZIGGYが放ったメジャーデビュー作、
R&Rのカッコ良さの中に
確かな大衆性を湛えた
『ZIGGY~IN WITH THE TIMES~』

本作『ZIGGY~IN WITH THE TIMES~』

 だから、このバンドは、メジャーデビュー作『ZIGGY~IN WITH THE TIMES~』から、いい意味で完成されている感が強かった。このアルバム、俗に言う“捨て曲”やブリッジ的なナンバーがなく、どこを切っても優れたメロディーを聴くことができる名盤である。とりわけM3「I'M GETTIN' BLUE」、M4「BIRDS ON STRINGS」、そしてM11「6月はRAINY BLUES」──この3曲のキャッチーさ、メロディアスさは尋常じゃない。ミディアムの「BIRDS ON STRINGS」と「6月はRAINY BLUES」はハードロック特有の粘っこさもあるため、もしかすると若干聴き手を選ぶかもしれないが、王道のバラードナンバーであることは誰もが認めるところだろう。「I'M GETTIN' BLUE」はサビメロの解放感が凄まじく、今もなおZIGGYの代表曲として挙げるファンも少なくないキラーチューンだ。いずれも単純に聴いていて気持ちがいい。何なら『ZIGGY~IN WITH THE TIMES~』はこれらだけを聴いてもらってもいいくらいだ(冗談)。M1「EASTSIDE WESTSIDE」、M5「LAZY BEAT」、あるいはM8「CRISIS」辺りはロックバンドの面目躍如というべき、R&Rの荒々しさが発揮された楽曲ではあるが、サビはしっかりキャッチー。M9「I WANT YOUR LOVE」、M10「BOOGIE WOOGIE TRAIN」はR&Rの楽しさがポップに注入されている。サウンド面においては、いかにも80年代風なブラスアレンジが印象的なM2「MAKE IT LOUD」、マイナーコードでAメロはややラップ調と収録曲中では一風変わった雰囲気のM6「上海GIRL」が聴きどころだろうが、これにしてもサビはメロディアス。また、収録曲中、唯一の戸城憲夫(Ba)作曲のナンバーM7「HOW」もえらくポップだ。
 あまりメロディーのポップさ、キャッチーさを強調しすぎると、ZIGGY未体験者にとってはバッド・ボーイズ・ロックンロール・バンドとの整合性が図れないかもしれないが、サウンドはまごうことなきR&Rである。疾走感を醸し出すリズム隊もさることながら、やはりギターがいい。ハスキーで押しの強い森重のヴォーカルを邪魔するわけでもなく、かといってリズムギターに徹するわけでもなく、楽曲全体に彩りを与えている。楽曲が進むにつれて、ギターが楽曲内でどんどんドライブしていく様子が収録されたナンバーがいくつかある。「6月はRAINY BLUES」辺りが白眉だが、これは所謂グルーブ感を生み出すとともに、歌のポップさ、ダイナミズムを助長していると思う。グランジやオルタナティブのような自己主張の強さはないが、なくてはならないギターサウンド。LAメタルに影響を受けたバンドとはいえ、この辺には日本的な何かがあるのかもしれない。さて、そんなZIGGYは、メンバーチェンジを繰り返しつつも1987年から2008年まで活動し、一旦無期限の活動休止を宣言したものの、2010年に限定復活。昨年も結成30周年を記念して再び期間限定で活動を展開した。全国ツアー、大型イベント出演、ベスト盤リリース、そして廃盤や製造中止のため入手困難になっていた1stアルバム『ZIGGY~IN WITH THE TIMES~』ほか8作品がデジタル・リマスター・ハイ・クオリティCDとして再発と、2014年は30周年記念に相応しいお祭り状態であった。以後、バンドとしての動きは未だ発表されていないが、リスナーとしてはいずれ動き出すことを信じて待つのみである。

著者:帆苅竜太郎

OKMusic編集部

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