来年、デビュー10周年を迎えるかりゆし58。節目に向けたシングル「かりゆしの風」は、カップリングも含めてとても風通しが良く、バンドの人間性をも色濃く伝える充実作となっている。同作について前川真悟（Vo＆Ba）と宮平直樹（Gu）に話を訊いた。 取材：田山雄士

　Silent Sirenの全国ツアーが、7月24日にNHKホールでファイナルを迎えた。力強い想いを込めた「KAKUMEI」で始まったステージは、「BANG!BANG!BANG!」や「ラッキーガール」など人気ナンバーがずらり。「「Are you Ready?」」では、間奏でメンバー紹介がてら、各パートがグイグイと攻め立てるソロプレイも見せつけ、大きな歓声が沸いた。最新アルバムからは、「女子校戦争」をトリッキーなプレイで演奏した他、ポップナンバーの「曖昧 me mine」やバラードの「ストロベリームーン」も情感いっぱいに会場を包み込む。アッパーでロック色の強い一面と女の子らしいポップな一面という、Silent Sirenの両面をくまなく聴かせるラインナップに、観客は大興奮で声援を送った。また、最新シングルに収録のアップナンバー「八月の夜」、カップリングに収録されたZONEのカバー曲「secret base〜君がくれたもの〜」も披露。この日が初披露となった「secret base〜君がくれたもの〜」は、ドラマ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のエンディングテーマで、Silent Sirenが手掛ける初のドラマタイアップだ。メンバーは原作アニメやコミックのファンで、ドラマの撮影現場にも足を運んで制作したなど、嬉しそうにエピソードを話していた。また、12月27日に大阪オリックス劇場、12月30日に東京体育館で『年末スペシャルライブ〜覚悟と挑戦〜』を行なうことも発表された。それに寄せて“2020年の東京オリンピックに向けて、曲作りなどしたい”“いつか紅白歌合戦に出たい”など、新たな挑戦を掲げた4人。ひなんちゅ（Dr）の”日本を代表する世界一のバンドになります！”との言葉に、場内がひとつになって歓声が鳴り響いた。

楽曲作りのルーツである偉大なアーティストの名曲をアカペラで披露することにより初心を忘れないでいようとする、彼らなりの自戒を込めたもの、まさに彼らの5枚目のシングルのタイトル「OUR ZONE」そのものである。

　LACCO TOWERの周年イベントを盛り上げる、みこしーズ主演の、ちゃんちゃんって内容のショートムービーが流れた後、ふんどし姿のみこしーズが神輿を担いで、“ラーッコ、ラッコ、ラッコ、セイヤー！　ワッショイ！”とスタンディングの客席を練り歩いてからライヴがスタート。そして、ダブルアンコールではマスコット＝ラッコちゃん（ラッコの着ぐるみね）がキレッキレのダンスを披露…という構成は、言ってしまえば、もはや毎年恒例のものになりつつあるけれど、それでも“今回のLACCO TOWERは前回とは全然違う”と思わせたところがこの夜の一番の見どころだったように思う。